うちのチワワが咳するよ!心臓病⁉気管虚脱⁉第三弾
上野の森どうぶつ病院 獣医循環器認定医の諌山です。
親戚のチワワが咳が酷くて治らない。と来た件です。
さて、前回のつづき。
超音波検査をすると、心臓の中を覗いて様々な部位を測定することが出来ます。
そしてこの子は僧帽弁閉鎖不全症が心臓の雑音の原因でした。
じゃあ肺水腫だったの!?
いえいえ。
この子は僧帽弁閉鎖不全症はありますが、まだ薬が必要な段階ではありませんでした。
肺水腫を起こしていない僧帽弁閉鎖不全症に対して薬が必要か否かは
レントゲンと超音波で判断します。
レントゲンは前回お伝えしたとおり。
超音波は心臓の各部屋の広さを測って、どこが大きいか見ていきます。
この超音波検査が曲者で!
測定者で大きく数字が変わるんです。
とある論文によると、同じ測定者でも熟練度によっては10~20%数値が変化したとか。
20%も違うともはや全然違う値ですよね。
当院ではそれもあって、超音波検査のデータを持ってきていただいた場合でも、必ず再測定させて頂いています。
認定医の先生が測定した場合には信頼できるので、そのまま使うこともありますけどね。
そして
超音波検査で測る心臓のサイズ2点
レントゲンで測るサイズ1点
合計3点の値が基準値を超える場合には薬を始めるタイミングです。
咳が止まらない、心臓が大きくて気管も悪いと言われた親戚のチワワちゃん
この子が基準値を超えていたのはレントゲンだけ。1/3だけでした。
なので、僧帽弁閉鎖不全症に対する心臓薬は不要。
ということで、咳は呼吸器から来るものですね。気管支炎でした。
でもなんで心臓はレントゲンで大きかったんでしょうか??
種明かしすると、この子は甲状腺機能低下症がありました。
冒頭で「最近動かなくなってきて~」という話があり、さらに心拍数がゆっくり。
なんだか肌も浅黒く、毛質が変わっていて…甲状腺機能低下症じゃない??
ということで検査に出したら
T4=Low!ビンゴです。
心拍数が減ると、一回当たりの血液量は増えます。
なので、血液をため込んだ心臓は、以前より大きく見えたんですね。
ということで、甲状腺の薬を飲んで、気管支炎の治療を行ってサクッと咳は治りました。
咳をしていて心臓が大きく見えるチワワ
「心臓の薬はいらない」と断言するのはなかなか難しいものですが、丁寧に診て判断する必要がありますね。
ちなみにこの子を診たのはもう一年前。先日別件で来ていたので書いてみました。
今も甲状腺の薬だけで元気ですよ!!
獣医循環器認定医の諌山でした。
次回は肺水腫のことでも話そうと思います。
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