犬の僧帽弁閉鎖不全症による肺水腫

上野の森どうぶつ病院 獣医循環器認定の諌山です。

普通の心臓の絵を描いてみました。

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肺水腫について簡単にかるーく説明してみます。

血液は

心臓(貯める部屋→送る部屋)

心臓(貯める部屋→送る部屋)

 

と動いています。

 

 

まず、以前のブログで肺水腫のレントゲンについて説明しました。

 

そして、僧帽弁閉鎖不全症についてはこちら

 

今時いろいろ情報は調べたら出てくると思いますが

僧帽弁閉鎖不全が重度になると、から帰ってきた血液が心臓に入れず肺でうっ滞します。

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心臓(貯める部屋→送る部屋)

↓×

心臓(貯める部屋に入れない)

 

こうして肺に水がたまった状態(肺水腫)になります。

 

ビフォーアフターでレントゲンをお見せしたいと思います。

 

まず軽度の肺水腫

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この子は最近をするといってやってきました。

 

かるーくうっ血が起きている状況ですね。

この程度であれば、入院はせず、内服薬の処方で帰ることもあります。

つぎに重度の肺水腫

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この子は「もう自宅で看取ったほうがいい」と言われたそうです。

こちらでどうにかできないかと言って酸素ボンベ背負ってやってきました。

 

 

さすがに入院しましたが、無事元気になって調子が良く、今2キロも太って絶賛ダイエット中です(笑)

 

 

とは言え、肺水腫になっているときは命の危険がある時です。

一般的なデータでは肺水腫で救急にかかった子の30%が亡くなるとされています。

 

 

そして、肺水腫を乗り越えたからといって安全になるわけではありません。

肺水腫を起こした病気(僧帽弁閉鎖不全症)が完治したわけではないのです

内科治療では悪くなった心臓に合わせて、薬で体を楽にして

苦しいのを取り除いて普通の生活に戻してあげているだけです。

薬がないと生きていけない心臓であり、薬があっても肺水腫からの平均的な寿命は9カ月と言われているため、肺水腫を一度救ったら終了ではありません。

 

病気が進行した場合にはまた肺水腫になり、薬を増やして維持をする…

その繰り返しになります。

 

この維持をするが大変なんです。

毎月病院に来てもらって、状態に合わせて薬を調整する。

そうやって普通の生活を維持できるように頑張ります。

その中で、バランスが取れなくなる日がある日来るんです。

それが再度肺水腫なのか、ほかの臓器とのバランスなのかは、その日が来るまでわかりません。

ある先生の格言では「それを寿命と呼ぶ」だそうです。

 

内科以外の選択肢は外科ですね。外科手術は根治(僧帽弁をつなぎ合わせて治す)手術です。

治療の仕方はまた長くなるので、別の機会に。

 

獣医循環器認定医の諌山でした。

 

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