僧帽弁閉鎖不全症 ~症状~
ワンちゃんの心臓病で一番多い病気
それが
僧帽弁閉鎖不全症
同じ意味で弁膜症、僧帽弁逆流、僧帽弁粘液腫様変性などなど色々な呼び名があります。
僧帽弁閉鎖不全症とは心臓の弁の病気です。
人間では弁膜症といわれる病気で、心臓の中には弁が4つあり、犬では僧帽弁という弁がきちんと閉まらなくなることが多いため僧帽弁閉鎖不全症と言われます。
高齢になると、小型犬では特にこの僧帽弁閉鎖不全症が非常に多く見られます。
犬種によってはこの病気がない方が珍しいくらいです。
さて、この病気に関しては非常に奥が深いので、まずは症状としてこういうものがあれば病院に行ったほうがいい状態をお話します。
血液が逆流してしまう病気なので
呼吸が速い 戻った血液(水分)が肺に溜まって苦しいから
横になって寝れない 肺に溜まった水で苦しいから
倒れる 血圧が下がってしまうから
舌が青い 酸素が足りないから
咳 気管が圧迫されたり、気管支に肺の水が漏れ出てくるから
といった症状を起こします。
そんな時に、レントゲン撮影をすると

僧帽弁閉鎖不全症で肺水腫の子
空気が黒で、真ん中の丸いのが心臓です。
↓が心臓は問題ない子 ↑が僧帽弁閉鎖不全症で症状があった子

心臓が問題ない子
本来丸い心臓の周りに肺が黒く見えるはずが、真っ白です。
これは・・・大変。
一刻も早く治療が必要です。
先ほど挙げた心臓病の症状たち。
全部が全部当てはまるとは限りません。
さらに、よくある間違いですが
心臓が悪い=咳にはなりません。
咳というものは「咳の受容体(センサー)」が刺激されて出てくるものです。
じつは、咳の受容体(センサー)は心臓と肺には無いのです!!!!
なので、肺に水が溜まって苦しくても咳を起こさない場合があります。
こんなに真っ白に肺に水が溜まっていても、この子は
寝れなくて食欲がない
って来たんです。
息苦しいから食欲も落ちますよね。
咳をしていないから心臓は悪くないとは言い切れません!
呼吸がずっと早ければ・・・落ち着いて寝れない様子があれば・・・
あれ?心臓大丈夫?って思ってください。
特に興奮後に急に呼吸がおかしい場合、急性の悪化の可能性があります。
いつもならこんなに長くハアハアしていないのに・・・?
寝ようとしても起きてすぐハアハアする・・・寝れないのかな?
みたいな時は即病院へお電話を!!
用事があっても、夜でもとりあえず電話してください。
取り越し苦労であればいいのですが、急性の肺水腫は陸上で溺れている状態に近いと思ってください。
危険なのですぐに対処が必要です。
ちなみに咳の受容体(センサー)は
ノド、気管、気管支、横隔膜、鼓膜、食道、胃などにあります。
なので当院にセカンドオピニオンでいらっしゃる方で、心臓の薬をいくら飲んでも咳が収まらない・・・という方
すっっっっごく多いんです。
この子は心臓の薬を飲んでも夜中ずーっと咳が止まらないと来院された子です
心臓の雑音はあるけれど、咳受容体のあるどこかに問題が隠れていることが事を複雑にしています。
これは以前の咳のブログでも書きました
両方のバランスが取れれば咳は減らせますよ!
幸い、多くの場合は重症化して症状が出る前に検診で心臓の雑音が見つかります。
何よりも大事なのは日々の定期チェックですね。
ワンちゃんは人の4倍のスピードで年齢を重ねます。
高齢になったら定期検診の頻度も増やしてあげてくださいね☆
心臓病の詳しい検査についてはこちら
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他院での診察や手術、研究により不在の場合がありますので
循環器認定医による心臓病診療をご希望の方は事前にご予約ください
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上野の森どうぶつ病院
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