獣医循環器認定医が犬の僧帽弁閉鎖不全症をブロッコリーで真面目に語る

僧帽弁閉鎖不全症は高齢になった小型犬に非常に多い病気です。

文字通り心臓の中の逆流防止弁が閉鎖不全になってる状態です。

この弁はパラシュートの糸と傘みたいな作りになってるのですが、イマイチそれが心臓の中って理解し難いですよね。
そこで。

さんのハツ(心臓)を写真撮ってみました。

*白黒ですが、ダメな人は読み飛ばしてください。
心臓の中
この心臓の中の乳頭筋(幹)腱索(糸)に支えられた先に縮こまってる弁(傘)があります。
で、弁の問題と捉えがちなんですが、弁も大事だけど腱索(糸)が大事。
ところでこの乳頭筋と腱索の感じ。
いつも思ってたんです。 
何かに似てませんか?
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そう!
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食べ物はちょっと・・・という方は、バオバブの木でもいいですよ。
…病んでませんよ?
さて。
ブロッコリーは上の傘って洗うときめっちゃ水弾きますよね!
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なのでと同じ役目として考えて話をしたいと思います。
まず普通の心臓弁が閉じたとき

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左図はCarpentier’s Reconstructive Valve Surgeryよりお借りしました。
左が実際の作り。まぁ、漏れないかんじです
これが
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腱索が弱ってしまって伸びると…

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ここからはブロッコリーだけで行きましょう。
弱って伸びた腱索は更に負担がかかってしまい…
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この時は細い腱索が切れてますね。穴も空いてますが、小さめです。
残った腱索達にどんどん負担がかかるとある日…
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太い腱索が切れました!

大変です。一気に逆流する面積が広がってしまいました!
そして、血液が逆流してしまっている分だけ心臓は大きくなり…
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こうやって心臓は更に悪化してゆきます。

そこで利尿剤血管拡張剤を使って心臓を小さくしてあげると

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穴の大きさが小さくなります。
逆流も減りますね。
 
    ブロッコリーは一緒ですよ。ギュッて持っただけです。
弁や腱索の状況は一緒ですよ。薬で小さくしただけです。
 
つまり僧帽弁閉鎖不全症の治療は
この穴が開いて大きくなったブロッコリーをいかにギュッて持つかです。
穴は病気の進行と共にどんどん大きくなります。

いかに穴を逆流させず、本来の出口(大動脈)に出せるかが治療法になります。

手を加え、品を足し…悩みながら本人に合わせて調節していきます。
 
治療方法の具体的な事は、長くなったのでまた別の記事に。
 
 
 
ほら!意外に真面目な記事だったでしょ?
やるときは何事も全力。
理想の形のブロッコリーを探すため、スーパーをハシゴした獣医循環器認定医 諌山でした。
 
 
ちなみにこのあとブロッコリーはみんなのオヤツになりました(笑)

ブロッコリーたべる

 

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